診断のポイント
【1】筋強直現象。
【2】筋萎縮・筋力低下。
【3】白内障,子宮筋腫,耐糖能異常などの多彩な合併症。
【4】呼吸不全,気道クリアランス低下,嚥下障害,心伝導障害。
【5】常染色体優性遺伝。
緊急対応の判断基準
【1】症状の自覚に乏しい筋強直性ジストロフィー1型(DM1)患者が周産期・周術期に急性増悪したり合併症が生じることがある。
【2】周産期・周術期に予想外の病状悪化をきたした患者が,細面で筋強直現象を認めたら本症の存在を疑い,神経内科医がいる高次医療機関への搬送を検討する。
症候の診かた
【1】筋強直現象:手の把握性筋強直,母指球・小指球の叩打性筋強直。
【2】筋萎縮・筋力低下:顔面(眼瞼下垂,鯉口),頸部(仰臥位で頭を挙げられない,首下がり),前腕〔手指近位指節間(PIP),遠位指節間(DIP)関節屈曲が弱い,ペットボトルの蓋を開けづらい〕,下腿(下垂足)に目立つ。
【3】細面で斧状顔貌,狭高口蓋,禿頭と特徴的な顔貌を呈する。
【4】知的障害やパーソナリティ障害を伴うことがある。睡眠リズムが整わず「朝が弱い」ことがある。
検査所見とその読みかた
【1】針筋電図:筋強直性放電。筋強直現象よりも感度が高い。
【2】血清クレアチンキナーゼ:500U/Lまでの微増にとどまる。
【3】筋病理:筋線維の大小不同,タイプ1線維萎縮,内在核の増加,輪状線維。遺伝子検査が健康保険適用となったので本症診断目的の筋生検は行われなくなった。
確定診断の決め手
【1】DMPK遺伝子3´非翻訳領域にあるCTG反復配列の異常伸長:遺伝学的検査として健康保険適用。CTG反復回数と重症度は相関する。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】筋強直性ジストロフィー2型(DM2):指定難病(告示番号113:筋ジストロフィー),小児慢性特定疾病対象。
❶臨床的に筋強直現象が目立たないことがある。
❷針筋電図での筋強直性放電。
❸CNBP遺