診断のポイント
検診による胆石発見率が増加しているが,一般的には以下のプロセスで診断される。
【1】高脂肪食や過食30分~2時間後,特に夕食後の夜間に突発する心窩部・右季肋部・右背部の激痛(疝痛)と,右肩,胸部,背部への放散痛を特徴とする。
【2】50~60歳台の女性に発症頻度が高いとされてきたが現在では男性に増加している。
【3】肥満,急激なダイエットによる体重減少,胆汁への脂質排泄促進を惹起する脂質異常症治療薬(クロフィブラートなど),経口避妊薬の服用,2型糖尿病,高中性脂肪血症などは胆石形成の危険因子である。
【4】疝痛発作とともに発熱や黄疸,肝機能検査値異常を伴う場合は総胆管胆石を疑う。
【5】腹部超音波検査が拾い上げ診断に有用である。
緊急対応の判断基準
【1】Mirizzi症候群,急性胆囊炎,胆囊穿孔:緊急手術や胆道(胆囊・胆管)ドレナージなどの緊急処置が必要である(図1図)。
【2】急性胆管炎や胆石性膵炎合併例:緊急手術,内視鏡的乳頭切開術,胆道ドレナージおよび重症度に応じて臓器サポート可能施設への搬送が必要である(図2図)。
【3】Charcot 3徴候(発熱,黄疸,上腹部痛)に意識障害・ショックを伴うReynoldsの5徴を呈する場合:画像検査・血液検査を迅速に施行し,緊急処置の要否を判断する。
【4】壊疽性胆囊炎や急性気腫性胆囊炎,急性胆管炎は,特徴的超音波検査画像や検査値異常〔「胆道感染症(胆道炎,胆囊炎)」項(→)を参照〕より緊急性の判断を行う。
症候の診かた
【1】疝痛発作
❶代表的な症状であり,胆石が胆囊頸部に嵌頓することにより発症する。発作の既往がないものは無症状胆石といい,胆囊胆石の32.7%,総胆管結石の22.6%を占める。
❷食後や夜間に突発する心窩部・右季肋部・右背部の激痛で,右肩,胸部,背部に放散する。胆道痛は数十分~数時間持続後に消失する。
❸脂肪摂取,過労が誘