診断のポイント
【1】心拍数50/分未満の調律をみたら,徐脈性不整脈を疑う。
【2】徐脈性不整脈は,洞(機能)不全症候群と房室ブロックに分けられる(表1図)。
【3】心電図診断に加えて,めまい・失神などの自覚症状(Adams-Stokes発作)の有無を聴取する。
【4】高齢者で多くみられるが,そうでない場合は原因の検索が必要である。
【5】頻脈性不整脈を伴うと,徐脈性不整脈の重症度が増す傾向にある。
緊急対応の判断基準
【1】Adams-Stokes発作,特に失神を認めた場合は,可及的すみやかに循環器専門病院に移送する。経静脈的一時的ペーシングもしくは硫酸アトロピン静注またはイソプロテレノール点滴静注で対応する。
【2】原因として,急性心筋梗塞,急性心筋炎,急性腎不全などが関与することがあり,その場合は緊急移送する。
【3】高度の徐脈が長時間続くと心不全を呈することがあり,早々に循環器専門外来に紹介する。
【4】心電図所見が徐々に悪化する場合は,早い段階で専門医の外来を受診させる。
症候の診かた
【1】発作性に生じる場合:Adams-Stokes発作,すなわちめまい・ふらつき・眼前暗黒感・失神といった徐脈による全脳虚血症状を呈することが多い。
【2】心停止が数秒(3~4秒)以内の場合:自覚症状を伴わないことが多い。Adams-Stokes発作を呈するのは一般に5秒以上の心停止をきたす場合である。
【3】徐脈性不整脈が長期間持続した場合:重症でなくとも易疲労感,全身倦怠感,労作時呼吸困難,浮腫などの心不全症状を呈する。
検査所見とその読みかた
【1】心電図検査
❶診断において必須である。通常の12誘導心電図では発作性に生じる徐脈性不整脈をとらえることが困難なため,24時間Holter心電図やイベント心電図などの(携帯型)長時間心電図を活用する。
❷失神の原因として徐脈性不整脈が疑われるものの,非侵襲的な心電図検