診療支援
診断

Brugada症候群
Brugada Syndrome (BrS)
平尾 見三
(AOI国際病院・不整脈先端治療センター長)

診断のポイント

【1】心電図ではV1~V3誘導のJ点が0.2mV以上を示すST上昇を3タイプに分類する。図1にみるコブド型ST上昇+陰性T波を示すタイプ1所見が認められれば,Brugada症候群(BrS)と診断する。

【2】V1,V2誘導は第3,第2肋間を含めて記録する。

【3】心室細動(図2)に起因する症状・家族歴の有無により,有症候性と無症候性に分類する。

症候の診かた

【1】失神・心肺蘇生,苦悶様呼吸の既往:特に就寝中,飲酒後,発熱時などに認められやすい。上記を伴うと有症候性BrSの可能性が強まる。

【2】家族歴の聴取:BrSと診断されている家族,45歳以下の原因不明の突然死の存在。

検査所見とその読みかた

【1】心電図でサドルバック型を呈しSTが0.1mV以上を示す場合をタイプ2,コブド型あるいはサドルバック型を呈しSTが0.1mV未満の場合をタイプ3に分類(図1)。

【2】BrSにおけるST上昇には日差・日内変動が存在し,負荷試験が有用である。

❶薬物負荷試験:ナトリウム(Na)チャネル遮断薬(ピルシカイニドなど)を静脈投与する。

❷運動負荷試験:運動時のST変化軽減,運動後の増強がみられることがある。

❸経口糖負荷試験:血糖上昇に伴いST変化が増強することがある。

【3】12誘導心電図:ST上昇以外の所見。

❶Fragmented QRS。

❷PQ延長。

❸下・側壁誘導の早期再分極パターン。

【4】心臓電気生理検査にて心室細動の誘発性:原因不明の失神などに適応がある。

【5】遺伝子検索:Naチャネル遺伝子のSCN5Aの異常の陽性率は全体の20%以下とされる。

【6】画像診断:MRIによる他の心筋症との鑑別が必要。

【7】加算平均心電図:心室遅延電位陽性例は有症候の群に多いとの報告がある。

確定診断の決め手

 12誘導心電図におけるタイプ1波形の存在が必須である。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1

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