診断のポイント
【1】Fontaineの分類(Ⅰ度:無症状,しびれ,冷感,Ⅱ度:間欠性跛行,Ⅲ度:安静時疼痛,Ⅳ度:潰瘍・壊疽)に沿った問診。
【2】脈拍の触知。
【3】動脈硬化症危険因子の合併の有無。
【4】足関節上腕血圧比(ankle-brachial pressure index:ABI)の測定。
【5】MRIや3D-CTでの血流評価。
症候の診かた
【1】問診
❶Fontaine分類に沿った問診が重要である(表1図)。Rutherford分類もよく用いられる(表1図)。
■間欠性跛行は,閉塞性動脈硬化症(ASO)に特徴的な症状である。間欠性跛行では脊柱管狭窄症との鑑別が大事で,跛行の症状,どのようなときに症状が起こるか,運動負荷や体位による症状の変化についての聴取が重要となる。
■Fontaine分類Ⅲ度,Ⅳ度を重症虚血肢(critical limb ischemia:CLI)という。
❷動脈硬化性の病変は全身に及ぶので,患者の主訴以外に,虚血性心疾患や脳血管障害の有無,あるいは,動脈硬化症の危険因子である高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙歴などにも注意を払うべきである。
【2】理学的所見
❶脈拍の触知が重要である。動脈の触知は,大腿動脈,膝窩動脈,足背動脈,そして,後脛骨動脈で行い,拍動の減弱や消失の有無のほか,thrill(スリル,振戦)や左右差の有無に注意して観察する。
❷血管雑音(bruit)の有無を聴診する。
❸足背動脈および後脛骨動脈の拍動を両方とも触れない場合,ASOの存在が強く示唆される。
検査所見とその読みかた
【1】足関節上腕血圧比(ABI)の測定
❶大動脈から足関節までの動脈の閉塞あるいは狭窄の有無を確認するために,足関節収縮期血圧を上腕動脈収縮期血圧で除した比を算出するABIが日常の診断や治療効果の判定に最も多く使用されている。
❷正常肢では足関節血圧が上腕血圧よりやや高値を示すた
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