診断のポイント
塩野谷による診断基準を以下に示す。
【1】喫煙歴。
【2】50歳未満での発症。
【3】下腿動脈以下の閉塞。
【4】上肢動脈の閉塞,または遊走性静脈炎の存在あるいは既往。
【5】喫煙以外の動脈硬化促進因子(高血圧,糖尿病,脂質異常症)の欠如。
症候の診かた
【1】問診
❶症状は上下肢の阻血である。Raynaud現象や,足趾,手指の冷感,しびれ,安静時痛,阻血性潰瘍,壊死にて来院することが多い。
❷下腿動脈・上肢動脈の閉塞を特徴とする本症では,下腿の間欠性跛行はほとんどみられず,跛行が出現する場合には,足部痛(instep claudication)であることが多い。
❸重要なのは喫煙歴の有無である。非喫煙者では本症はほぼ否定できる。糖尿病の有無,脳梗塞,心筋梗塞などの動脈硬化症に伴う疾患の既往の聴取も鑑別診断上重要である。
【2】身体所見
❶上下肢の動脈拍動を調べる。
❷上肢の病変は無症状のこともあり,Allen試験が有用である。
❸下垂時の足部発赤は阻血の徴候である。
❹Raynaud現象は冷水浸漬など寒冷曝露の際に出現する。
❺潰瘍・壊死は四肢の末端にみられることが多い(図1図)。
❻皮膚硬化,蝶形斑(butterfly shadow),手指関節変形など,他疾患を示唆する所見がないかもチェックする。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:本症に特徴的な検査はない。血液検査は他疾患の除外のために行う。
【2】無侵襲的検査
■足関節上腕血圧比(ankle-brachial pressure index:ABI):下肢病変で測定する。正常値は1.00~1.40。
■足趾上腕血圧比(toe-brachial pressure index:TBI):足部末梢性病変の場合に測定する。正常値は0.70以上。
■経皮酸素分圧(TcPO2),皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP):切断部
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