診断のポイント
【1】長期間の糖尿病罹患歴。
【2】糖尿病による細小血管障害(網膜症,腎症)の併発。
【3】治癒が遷延している足潰瘍の存在。
【4】糖尿病以外の動脈硬化リスク因子(喫煙,高血圧,脂質異常症)の併存。
緊急対応の判断基準
虚血や感染合併を見逃さなければ手遅れにならずに足を救うことができる。
【1】重症感染合併:深部感染あるいは全身感染の併発があればドレナージ手術などの迅速な処置を要する。
【2】高度虚血:明らかな虚血進行のサインがあれば血行再建可能な施設に連絡する。
症候の診かた
病態を意識しながら診察を行う〔神戸分類(表1図)〕。
【1】虚血の有無(macroangiopathyの有無)
❶足部動脈拍動触知:触知不良ならドプラ聴診を行う。
❷下肢挙上試験:臥位で患肢を挙上して,1分程度待つ。重症虚血であれば足趾は蒼白化する。
【2】足全体の観察
❶創の位置,深さ,潰瘍か壊死かなど(図1図)。
❷神経障害による足変形:claw toe,Charcot変形(図1図,2図)。
❸自律神経障害:足皮膚の乾燥,ひび割れ。
【3】触覚の確認(専用のフィラメント使用)
【4】局所感染所見:潰瘍周囲の発赤や骨髄炎所見(潰瘍と連続する創深部に骨の存在や潰瘍周囲関節の腫脹など)。
検査所見とその読みかた
【1】客観的血流検査:足関節上腕血圧比(ankle-brachial index:ABI)がスタンダードではあるが,長期糖尿病や透析合併例では動脈石灰化のため,足関節血圧が測定できないか,または信頼できない。そのため,toe pressure,皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)や経皮酸素分圧(tcPO2)などを測定して,足背や足底,足趾の虚血重症度評価を行う。
【2】足変形の検査:足部X線写真にて骨変形の有無を評価する(図2図)。
【3】血液検査:一般的血液検査に加えてHbA1cやアル