診断のポイント
【1】患者の年齢・免疫状態により原因ウイルスの種類・頻度は異なる。
【2】インフルエンザ肺炎の病型は1)細気管支炎,2)原発性インフルエンザ肺炎,3)ウイルス・細菌混合感染性(同時性)肺炎,4)ウイルス感染後二次性(続発性)細菌性肺炎の4つの病態が知られ,特に原発性インフルエンザ肺炎は激烈な予後となりうる。
症候の診かた
【1】呼吸器系に感染するウイルスは多数あり,ウイルスの種類によって症候は大きく異なる。本来はそれぞれの病原ウイルスを冠した病名で扱うべきものである。
【2】ウイルス性肺炎病原体が検出された入院を要する市中肺炎のウイルス性肺炎の頻度は62%,細菌性肺炎の頻度は29%,混合感染は約7%とウイルス肺炎の頻度は意外と多い。
❶市中肺炎:呼吸器を標的とする呼吸器系ウイルスの感染。ライノウイルス,インフルエンザウイルス,ヒトメタニューモウイルス(hMPV),パラインフルエンザウイルス,respiratory syncytial(RS)ウイルス,など。
❷院内肺炎:系統的ウイルスの全身感染症の合併症として感染宿主の免疫低下に続発。サイトメガロウイルス(CMV)(→)など。
❸特殊なケース:麻疹,水痘,重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)コロナウイルス(→),中東呼吸器症候群(middle east respiratery syndrome:MERS)ウイルス(→)など。
【3】発熱(≧37.8℃):インフルエンザ流行期のオッズ比は76.9%。
【4】喀痰:細菌性肺炎と比して少なく,非定型肺炎様症状を呈する。ただし,細菌性肺炎の合併も多く,混合感染の可能性は常に念頭におく。
【5】咳,鼻汁,喘鳴:RSウイルス感染は小児に多いが,その後も一定の再感染を繰り返し,通常の感冒様症状に加えて喘鳴などの気道症状が特徴的である
関連リンク
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