診断のポイント
【1】市中肺炎に関与し,院内肺炎や医療・介護関連肺炎への関与は低い。
【2】肺炎の重症度はきわめて軽症で,日本呼吸器学会による重症度分類A-DROPで0点の,外来で治療可能な肺炎が多い。
【3】集団感染での報告が多く小集団内(保育所,幼稚園,学校など)での流行を聴取する。
症候の診かた
【1】発熱:発熱の程度は軽微で,無熱性/微熱性の超軽症肺炎をみた場合に疑う。
【2】咳嗽:マイコプラズマや百日咳ほど頑固な咳嗽でなく,一過性の気道過敏性亢進がある。
検査所見とその読みかた
【1】日本呼吸器学会は臨床像から非定型肺炎を抽出する6項目を作成し推奨している。
【2】検査法は,病原体検出法(分離培養法,蛍光抗体法,酵素抗体法,遺伝子検出法)と血清抗体価測定法に大別され,呼吸器検体での培養,遺伝子診断陽性率は低い。病原体検出法と血清診断法の結果は一致せず,血清抗体価測定法の感度が他法より優っている。
【3】胸部画像検査:区域性のコンソリデーション(consolidation)浸潤陰影(図1図)を呈することが多いが特異所見はない。
確定診断の決め手
【1】抗体価測定法(IgG):ペア血清で4倍以上の上昇が原則で,抗体価はゆるやかに上昇するため,採血間隔は少なくとも4週間以上が必要となる。
【2】抗体価測定法(IgM):IgM抗体は病初期に検出されることから,初感染例の診断には有用である(図2図)。ただし,症状発現後14日以内では抗体が産生されないことが多く,迅速診断としての有用性は乏しい。さらに再感染ではIgMは上昇せず,小児や若年成人での診断的有用性はあると考えられるが,再感染例の多い高齢者では有用性が低い。
【3】迅速抗体価検出法:10分で診断可能な迅速IgM検出法が2015年8月に発売された。簡易検査法では偽陽例が存在し,感度が劣ることを理解しておく必要がある。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイン
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/尿中レジオネラ抗原定性 [保] 211点
- 臨床検査データブック 2023-2024/マイコプラズマ類 マイコプラズマ・ニューモニエ抗体《マイコプラズマ抗体》 [保] 32点
- 新臨床内科学 第10版/7 レジオネラ症(在郷軍人病)
- 新臨床内科学 第10版/1 クラミジア肺炎,オウム病
- 今日の診断指針 第8版/ウイルス性肺炎
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