診療支援
診断

マイコプラズマ肺炎
Mycoplasma pneumoniae Pneumonia
滝澤 始
(杏林大学教授・呼吸器内科)

診断のポイント

【1】若年者(特に40歳以下)に比較的多い。

【2】臨床経過:上気道炎症状に引き続き発熱,乾性咳嗽が出現。

【3】胸部X線写真で肺炎像。

【4】検査所見:CRPが増加するが末梢血白血球は正常~軽度上昇にとどまる。寒冷凝集素が上昇することがある。

【5】病因診断:実地臨床では咽頭拭い液による迅速抗原検出法(イムノクロマト法)が行われる。

緊急対応の判断基準

 まれながら呼吸不全となる症例は専門施設へ。

症候の診かた

【1】比較的若年者で感冒症状に引き続いて発熱と乾性咳嗽。

【2】全身状態は保たれていることが多い。

【3】肺野の聴診ではラ音を聴取しないことも多い。

検査所見とその読みかた

【1】血液検査所見:末梢血白血球は正常~軽度上昇,CRPは増加する。

【2】胸部画像所見:すりガラス影ないしコンソリデーションを認める。しばしば小葉中心性で,小粒状陰影を示すこともある。気管支炎を反映する気管支壁の肥厚も認める。

確定診断の決め手

【1】迅速抗原検出法:イムノクロマト法:咽頭ぬぐい液,保険適用,15分程度。

❶リボテスト®マイコプラズマ:リボソーム蛋白質L7/L12を検出。

❷プライムチェック®マイコプラズマ抗原:P1蛋白質を検出。

❸プロラスト®Myco:DnaK蛋白質を検出。

【2】Loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法:DNA検出,咽頭拭い液,保険適用,2~3日。一般施設では困難。

【3】迅速マイコプラズマ抗体キット(イムノカード®):マイコプラズマIgM抗体を血清から検出,感度が悪い。

【4】粒子凝集反応(PA)法(主にIgM),補体結合反応(CF)法(IgG):ペア血清で4倍以上の上昇。実際には実施困難なことも多い。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

 他の市中肺炎():胸部画像所見による鑑別はしばしば困難。喀痰グラム染色・培養。

確定診断がつかな

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?