診断のポイント
【1】入院48時間以降に発症した肺炎と定義される。
【2】入院とは関連なく発症する市中肺炎,長期療養型施設入居者に発症する医療介護関連肺炎とは区別される。
【3】発熱・咳・痰・胸痛・呼吸困難などの症状で疑い,炎症反応(白血球数増多,CRP高値など),胸部異常陰影,微生物検査により診断する。
【4】院内での感染であり,MRSAや緑膿菌などの耐性菌が原因となる頻度が高い。
【5】高齢者や免疫不全宿主では臨床症状が不顕化することがあるので注意する。
緊急対応の判断基準
【1】重症を否定できない場合には専門医に相談する。
【2】重症度の分類は「成人肺炎診療ガイドライン2017」の判定基準を用いる。
【3】意識障害(GCS<15),頻呼吸(>22回/分),収縮期血圧≦100mmHgのうち2項目を満たす場合には敗血症の合併ありとして対応する(quick sequential organ failure assessment:qSOFAスコア)。
【4】心・循環,肝・腎,中枢神経などの合併症に対しては臓器別の専門医に相談する。
症候の診かた
【1】高齢者や免疫不全宿主では合併症を生じやすいので注意深い身体診察が重要となる。
【2】呼吸状態(呼吸音,回数/様式)を注意深く観察する。
【3】高齢者では誤嚥の関与を慎重に判断する。
検査所見とその読みかた
【1】全身状態:基礎疾患,意識レベル,呼吸・循環動態に加え,肺炎の重症度および合併症の有無を評価する。
【2】心電図検査:循環動態の把握,不整脈の有無を確認する。
【3】胸部画像診断
❶胸部X線検査に加え,必要に応じて胸部CTを実施する。
❷陰影の広がりは必ずしも重症度とは相関しない。経時的な画像の評価が重要である。
❸レジオネラ肺炎では,陰影の広がりに比して低酸素血症が強いことが特徴である。
【4】塗抹・培養検査
❶抗菌薬治療の開始前に良質な喀痰を採取する。可能であれば
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