診療支援
診断

気管支喘息(小児を除く)
Bronchial Asthma
一ノ瀬 正和
(大崎市民病院アカデミックセンター監理官)

診断のポイント(表1)

【1】変動性をもった,呼吸困難,喘鳴,胸苦しさ,咳などの症状の反復といった喘息に特異的な臨床症状を聴取する。

【2】家族歴や血中IgE測定によるアトピー素因の把握。

【3】呼吸機能検査で気流制限の変動性を検出する。喀痰や呼気一酸化窒素濃度(NO)測定による気道炎症の検知。

緊急対応の判断基準

【1】低酸素血症の有無を経皮酸素飽和度モニターなどで把握し,低酸素血症や頻呼吸時は酸素投与を行う。

【2】患者症状や検査値の目安から発作強度を把握し(表2),治療を行う(表3)。

症候の診かた

【1】変動性をもった症状:呼吸困難,喘鳴は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)や心不全などでも起こるが,喘息の場合は夜間や早朝に起こるといった特徴がある。

【2】気流制限の可逆性:具体的には短時間作用性β2刺激薬(short-acting β2 agonists:SABA)吸入による1秒量変化で判断するが,長期的な治療による1秒量やピークフローの改善も可逆性の存在を示す。

【3】気道過敏性の亢進:喘息患者の場合,運動による過換気,冷気吸入,香水の匂いなどで気道狭窄(喘鳴),咳などを起こす。ピークフローの日内変動(20%以上)も気道過敏性の亢進を示唆する。

検査所見とその読みかた

【1】胸部X線撮影:通常異常所見がないが,閉塞性障害高度症例では肺の過膨張所見。

【2】呼吸機能検査:正常から高度閉塞性障害までさまざま。閉塞性障害症例には気管支拡張薬の追加を検討。

【3】可逆性試験:SABA吸入により,1秒量の12%かつ200mLの増加があれば可逆性陽性と判定する。なお,COPDでも可逆性陽性例はあるので注意を要する。呼吸機能が正常の場合には喘息でも陰性となる場合が多い

【4】気道過敏性試験:通常メタコリン吸入による1秒量や呼吸抵抗

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