診断のポイント
慢性気管支炎(chronic bronchitis:CB)は「臨床症状」によって定義されており,喫煙,大気汚染などにより症状が出る疾患であり,以下にその要点を示す。
【1】持続性または反復性の痰を伴う咳症状があること。
【2】1年のうち3か月以上(主に冬季)ほとんど毎日続く症状が,2年以上にわたってみられること。
【3】心疾患,気管支喘息,気管支拡張症など慢性の咳・痰症状を伴う疾患を除外できること。
症候の診かた
【1】主症状:本症は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の気道病変が強いタイプであり,長期間に及ぶ咳嗽,喀痰が主症状である。末梢より中枢気道に炎症が強く,定義的には「気流制限」の有無に関係なく,必ずしも呼吸機能上,閉塞性障害があるわけではないことに注意が必要である。
【2】喀痰:性状は通常無色で粘液性であるが,気道感染が加わると膿性となる。
【3】労作性呼吸困難:病状の進行とともに認める。
【4】wheezesやrhonchi:気道分泌物があるため,聴診で聴取することがある。
検査所見とその読みかた
【1】喀痰検査:量や性状の評価,細菌学的検査や細胞診で他疾患の鑑別をする。
【2】胸部X線写真・胸部CT:慢性気管支炎では画像上の変化は軽微で異常はみられないと理解してよい。他疾患,特に気管支拡張症・肺気腫・びまん性汎細気管支炎・肺癌などと鑑別することが重要である。
【3】呼吸機能検査:慢性気管支炎の定義に呼吸機能異常は含まれていない。したがって慢性気管支炎だからといって必ずしも閉塞性障害があるとは限らない。基本的に肺コンプライアンスの低下はなく,肺拡散能の低下は軽度である。
確定診断の決め手
咳・痰の症状が年に3か月以上あり,それが2年以上連続していること。しかし,基本的には他疾患の除外により診断される。
誤診
関連リンク
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