診断のポイント
【1】慢性,好中球性の上気道炎症(鼻副鼻腔炎)および下気道炎症(細気管支炎)を特徴とする。
【2】胸部CT上,両肺びまん性に存在する小葉中心性粒状病変がみられる。
【3】旧厚生省研究班による診断の手引きが用いられることが多い(表1図)。
症候の診かた
【1】性差はほとんどなく,上気道症状に加えて,診断時年齢は若年者から高齢者まで幅広い。
【2】慢性咳嗽,多量の膿性喀痰,持続的な労作時呼吸困難に慢性鼻副鼻腔炎の合併ないし既往がみられることが多い。
【3】聴診上,気道分泌物の影響によるcoarse crackles,時に気道狭窄に伴うwheezes,rhonchiなどが聴取される。
検査所見とその読みかた
【1】胸部X線写真:両肺野びまん性散布性粒状影,しばしば過膨張,進行すると両下肺の気管支拡張所見がみられる。
【2】喀痰細菌検査:インフルエンザ菌,肺炎桿菌,モラクセラ・カタラーリス,緑膿菌などがよく検出される。
【3】呼吸機能検査:典型的には,閉塞性換気障害,低酸素血症がみられる。進行すると,肺活量が減少し,残気量が増加する。肺拡散能力はほぼ正常範囲にとどまることが多い。
【4】血液検査:血液中の寒冷凝集素価の持続高値が認められることが多い(機序不明)。
【5】胸部CT:両肺野にびまん性小葉中心性粒状病変が観察される(図1図)。しばしば細気管支の拡張,壁肥厚を伴い,進行するとびまん性気管支拡張所見がみられる。
確定診断の決め手
【1】慢性鼻副鼻腔炎の合併ないし既往に注意する。
【2】慢性の咳嗽,喀痰症状に加えて,胸部CT上,両肺野びまん性小葉中心性粒状病変の検出が重要である。
【3】本疾患に関しては,十分に特異性の高い検査が存在しないため,他疾患を鑑別した後の臨床診断にとどまることが多い。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
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