診断のポイント
2018年に診断基準が改訂された(Am J Respir Crit Care Med, 198: e44-e68, 2018[PMID: 30168753▶])。
【1】50歳以上,男性,喫煙者。
【2】慢性進行性の労作時呼吸困難,または乾性咳嗽。
【3】肺底部のfine crackles,ばち指。
【4】高分解能CT(HRCT)での胸膜直下,肺底部優位の線状網状陰影,牽引性気管支拡張および蜂巣肺所見(図1図)。
【5】外科的(胸腔鏡下)肺生検での構造破壊を伴う線維化,蜂巣肺,胸膜直下や小葉間隔壁近傍優位の線維化,線維芽細胞巣。
緊急対応の判断基準
【1】IPF急性増悪の診断基準により判断する。
【2】通常1か月以内の経過での呼吸困難の増強がある。
【3】HRCTでのIPFによる既存の所見(蜂巣肺)と新たなすりガラス陰影や浸潤影の出現(図2図)。
【4】動脈血酸素分圧が10mmHg以上低下する。
【5】IPF急性増悪時には,パルス療法を含むステロイド療法や急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)に準じた呼吸管理を行う。
【6】急性増悪以外で緊急対応すべき合併疾患・病態としては,肺感染症(肺炎),気胸,肺血栓塞栓症,心不全がある。
症候の診かた
【1】呼吸困難:発症は通常緩徐で,経過は慢性進行性。
【2】聴診
❶両側肺野(下肺野背側)でのfine cracklesをIPFの90%前後で認める。
❷無症状例でも聴取することが多く,早期診断のキーポイントとなる。
【3】ばち指:IPFを含む慢性経過の間質性肺炎の存在を疑う重要な所見で,IPFでの頻度は30~60%程度。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査
❶間質性肺炎の血清バイオマーカーであるKL-6およびSP-Dが高率(80~90%)に上昇する。
❷病態のモニタリングや治療反応の評価に有用で
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