本項では特発性NSIPを中心に記述する。
診断のポイント
【1】非喫煙者,女性に多い。
【2】あくまで肺限局性の疾患概念である。
【3】平均年齢52歳(26~73歳と広範囲の年齢)に発症する。
【4】慢性経過の間質性肺炎で特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)に比して予後良好。
【5】拘束性換気障害および画像上で網状影を呈するが,明らかな蜂巣肺は呈さない。
症候の診かた
乾性咳嗽を呈し,労作時の呼吸困難を伴う。これらは時期が特定できない緩徐な発症をする。
検査所見とその読みかた
【1】身体診察:聴診上,両下肺背部を中心にfine cracklesを聴取する。ばち指を伴うこともある。
【2】血液生化学所見
❶LD高値,ならびに間質性肺疾患で上昇するKL-6,SP-A,SP-Dの高値を認めることが多い。
❷鑑別のために膠原病関連血清項目,感染症関連項目などを適時測定する。
【3】呼吸機能検査:TLC,VCの低下がみられ,総じて拘束性換気障害が認められる。
拡散障害(DLcoの低下)を伴うことが多く,著しい障害では肺高血圧症の合併が疑われ,肺循環動態の精査が必要とされる。
【4】画像所見
❶胸部X線写真で両下肺野に間質性陰影が疑われた場合は,高分解能CT(HRCT)を施行する。
❷下肺野優位の網状影が主体で(図1図),「すりガラス影を伴う」症例から「線維化の著明な」症例まで幅広くある。後者は牽引性気管支拡張が著明であり,IPFと同等の予後不良を示すものもある。
【5】気管支鏡検査
❶経気管支的組織生検では感染症や肉芽腫性疾患といった他疾患の鑑別に有用であるものの,積極的なNSIPの診断には用いない。
❷気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)法による細胞分画では総細胞数の増加と,リンパ球比率が上昇する(平均30~60%)。一方,通常型間質性
関連リンク
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