診断のポイント
【1】診断には以下の4つのポイントが重要である。
❶乾性咳嗽や息切れ,労作時呼吸困難などの自覚症状の存在。
❷放射線照射の既往(通常照射終了1~3か月)。
❸原則として照射野に一致した肺炎像。
❹他疾患の除外。
【2】乳癌などの場合は放射線による器質化肺炎がみられる場合があり,この場合は照射野に一致しない。
緊急対応の判断基準
以下の場合は重症であり,高次医療機関に搬送する。
【1】画像上広範囲に浸潤影を呈する場合。
【2】日常生活に影響するような症状を有する場合。
【3】呼吸不全状態にある場合。
症候の診かた
【1】放射線照射終了後に画像上照射野に一致した陰影があっても,自覚症状がない場合も多い。
【2】乾性咳嗽や息切れ・労作時呼吸困難などが出現しうる。発熱は微熱程度であるが,弛張熱を呈することもある。
【3】胸部聴診では異常を認めないことも多いが,捻髪音や胸膜摩擦音を照射部位に聴取することがある。時に放射線による胸水がみられる場合もある。
【4】照射部位に皮膚の発赤・びらんがみられることが多い。
検査所見とその読みかた
【1】胸部画像検査:照射野に一致した浸潤影を認める。
【2】血液検査:いずれも非特異的であるが,軽度の白血球増加,赤沈の亢進,LDHの軽度上昇が認められる。また,シアル化糖鎖抗原(KL-6)やサーファクタントプロテインD(SP-D)などの上昇もみられ,時に画像異常に先行して上昇することがある。
【3】血液ガス:肺炎の広がりに応じて低酸素血症となり,過換気によりPaCO2は低下する。
【4】肺機能検査:肺活量の低下,拡散能およびコンプライアンスの低下が認められる。
確定診断の決め手
【1】画像上,浸潤影に放射線照射方向に一致した直線的な境界が診断的な所見である。
【2】ただし,近年行われている3次元原体照射(3D-CRT)や定位照射などでは境界が直線的とはならない点に注意が必要である。