診療支援
診断

過敏性肺炎
Hypersensitivity Pneumonitis
宮崎 泰成
(東京医科歯科大学教授・呼吸器内科)

診断のポイント

‍ 本疾患の病型は臨床像により週から月単位で経過する「急性」と年単位に経過する「慢性」に分類される。急性の診断基準を表1に示す

【1】抗原曝露に関連した症状がある。曝露環境から離れると軽快する。

【2】鳥の飼育,羽毛製品の使用,自宅環境(雨漏り,腐木),職場環境。

【3】特異抗体やリンパ球刺激試験などの免疫学的所見が陽性。

【4】病理学所見

❶肉芽腫形成

❷胞隔炎

❸Masson体

【5】胸部CT所見:小葉中心性粒状影,汎小葉性すりガラス影,モザイク分布。

症候の診かた

【1】自覚症状

❶急性症状:発熱,悪寒,咳嗽,呼吸困難,全身倦怠感。

❷慢性症状:咳嗽,呼吸困難のみとなる。

【2】他覚症状

❶全例で吸気末期の捻髪音(fine crackles)を聴取する。

❷慢性例ではばち指を30~50%の症例で認める。

検査所見とその読みかた

【1】血液検査

❶KL-6やSP-Dは急性では著明に上昇し,慢性では中等度の上昇を示す。抗原曝露の増減で変動する。

❷軽度のLDH上昇や赤沈値亢進,好中球増多,CRP陽性を認める。

【2】肺機能検査

❶拘束性障害(VC,FVCの低下)と拡散能障害(DLcoの低下)を示す。

❷動脈血ガス分析:低酸素血症AaDO2の開大を認める。

❸6分間歩行試験:労作時SpO2低下を認める。

【3】病理検査

❶急性過敏性肺炎:リンパ球性胞隔炎,非乾酪性類上皮肉芽腫,肺胞腔内器質化(Masson体),細気管支炎を認める(図1)。

❷慢性過敏性肺炎

器質化肺炎(organizing pneumonia:OP),非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP),通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)の病理組織パターンを呈する。

加えて小葉中心性線維化(centrilobular fibrosis)および

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