診断のポイント
【1】1週間以内もしくは1か月以内の急性の咳嗽,呼吸困難や発熱を伴う。
【2】低酸素血症呼吸不全(室内気でPaO2<60TorrあるいはSpO2<90%未満)をしばしば起こす。
【3】胸部X線写真でびまん性浸潤影あるいはすりガラス状陰影。
【4】気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)中で好酸球分画が25%以上。
【5】直近の喫煙歴がある。
救急対応の判断基準
急速進行性呼吸不全はしばしば起こる。この場合,呼吸管理が必要なので専門医に至急コンサルトする。
症候の診かた
【1】20~40歳の男性に多い。
【2】急激に発症する,咳嗽,発熱,呼吸困難がほぼ全員に起こる。
【3】本邦では,喫煙開始後に発症する例が多い。
【4】タバコ以外の煙(花火,ダストや細かい砂)の吸入後に発症した例が報告されている。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:血沈値(ESR),CRPと血清中IgE値が上昇することが多いが,特徴的な検査所見はない。一般的に,末梢血の好酸球数増加はない。回復期に末梢血の好酸球の増加を認めることもある。シアル化糖鎖抗原(KL-6)は通常上昇しない。抗好中球細胞質抗体(ANCA)は陰性。
【2】血液ガス分析:PaO2の低下(<60Torr)とA-aDO2の拡大がある。
【3】肺機能検査:できないことが多い。できたときは,拘束性換気障害〔努力性肺活量(FVC)の低下〕と肺拡散能(DLco)が低下する。
【4】胸部X線写真:浸潤影とすりガラス状陰影が出現する。Kerley B-lineもよく出現する。症状が進行すると,両側にびまん性浸潤影とすりガラス状陰影が混在して広がる。
【5】胸部高分解能CT(HRCT)画像:すりガラス状陰影を主体に,浸潤影,小粒状陰影,小葉間隔壁肥厚が肺区域を越えて出現する。両側胸水が高頻度(約90%)と報告されている。
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