診断のポイント
【1】症状は数週~数か月の経過で出現持続し,抗菌薬無効。
【2】好発年齢は40~50歳台,男女比1:2,非喫煙者が60%。
【3】肺野末梢優位に分布する陰影の出現。
【4】気管支鏡での「下気道における好酸球増加」。
緊急対応の判断基準
呼吸不全を呈した場合,酸素投与とすみやかな治療開始が求められる。
症候の診かた
【1】咳,痰,呼吸困難,発熱など症状は非特異的。
【2】気管支喘息単独では説明しえない聴診所見を呈する例では本疾患を念頭におく。
検査所見とその読みかた
【1】末梢血好酸球増加:ほぼ全例に認められる。白血球分画で好酸球比率20%以上,かつ好酸球数1,000/μL以上とした際に,慢性好酸球性肺炎の感度73.8%,特異度64.6%とされる。
【2】胸部X線写真およびCT:片側ないし両側浸潤影,すりガラス影が全例に認められる。
【3】血清IgE:約半数に500IU/L以上の高値を認めるが,疾患特異的な検査ではない。
【4】気管支鏡:気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)により好酸球増加が確認される。
確定診断の決め手
【1】好酸球増加の確認
❶前述のとおり臨床症状,血液および画像検査で慢性好酸球性肺炎の確定診断は得られない。したがって,BALによる好酸球増加を確認することが,確定診断に必須である。
❷診断基準は存在しないが,多くの臨床試験において「BAL中細胞好酸球分画の25%以上への増加」が確定診断のカットオフとして用いられる。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】喘息が合併する疾患群としてアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(→),および好酸球性多発血管炎性肉芽腫症:画像所見の相違,血管炎に伴う臨床症状の有無などで鑑別する。
【2】特発性器質化肺炎:抗菌薬無効,末梢優位に分布する陰影を呈するが,下気道に好酸球増加は伴わない。
【3】薬剤性肺障害(→):被疑