診断のポイント
【1】学童期から30歳台での検診発見が多い。
【2】同胞発生(常染色体劣性遺伝)。
【3】胸部X線・CT上,両肺野のびまん性粒状影(石灰化陰影)。
【4】肺生検で肺胞腔内の層状・年輪状の微石形成。
【5】Ⅱb型ナトリウム依存性リン運搬蛋白質遺伝子(SLC34A2)異常。
緊急対応の判断基準
有効な治療法はないが,進行期には著明な低酸素血症や右心不全を認めることから緊急対応が必要となる場合がある。
症候の診かた
【1】初期は無症状であり,検診発見が多い。また,胸部X線写真の所見に比較して自覚症状に乏しい。
【2】疾患特異的な症候はなく,慢性呼吸不全の進行に伴い呼吸困難感の出現,右心不全に伴う下腿浮腫を認める。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:間質性肺炎マーカー(KL-6,SP-A,SP-D)が上昇することがある。
【2】胸部画像検査
❶胸部X線:両側肺の中下肺野優位にびまん性微細小粒状影がみられる(図1図)。典型例では吹雪様陰影とよばれる。
❷胸部CT:微小結石は空間分解能を下回るため重畳像がびまん性すりガラス影あるいはコンソリデーションとしてとらえられる。
❸こういった陰影に石灰化を認めることが本症の特徴である。
【3】肺生検:肺胞腔内に層状・年輪状の微石形成を認める。診断には外科的肺生検を要する場合が多い。
【4】遺伝子検査:Ⅱ型肺胞上皮細胞に発現するSLC34A2遺伝子異常(病因)を認める。
確定診断の決め手
【1】両側肺野のびまん性粒状影および石灰化。
【2】病理組織学的に肺胞腔内に層状・年輪状の微石形成。
❶一般的には外科的肺生検で診断される症例が多いが,経気管支肺生検で微石を認めることもある。
❷気管支肺胞洗浄液で微石を認めることもある。
【3】SLC34A2遺伝子異常:常染色体劣性遺伝。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】転移性肺石灰化症:悪性腫瘍に伴う転移性肺石灰化症では肺胞壁に
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