診断のポイント
【1】癌の原発巣の存在,または癌の既往(通常5年以内)の確認。
【2】転移性肺腫瘍に特徴的な画像所見(多発性,大小不同,区域性の欠如など)。
緊急対応の判断基準
【1】緊急対応については,全身状態と疾患予後を十分に勘案して治療適応とその濃度につき総合的判断をする。
【2】中枢気道に狭窄が生じ低酸素血症が生じた場合は,酸素投与を行うとともに,適応があると判断された場合は高次医療機関へ搬送する。吸気時喘鳴とSpO2の低下は参考になる。
【3】気道出血の最大のリスクは窒息である。体動時は患者による血液の喀出を助け,安静時は患側を下にする。
症候の診かた
【1】転移性肺腫瘍は無症候性のことが多い。転移部位や腫瘍サイズによっては,咳嗽・胸痛・喘鳴・呼吸困難・気道出血をきたす。
【2】喘鳴:中枢気道に狭窄が生じると喘鳴を聴取する。気管支喘息との鑑別を要する。相違点は,吸気時にみられること,日内変動に乏しいこと(気管支喘息は就寝時や早朝に好発する)である。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:原発となる癌が明らかな場合,CTまたはPET/CTによりスクリーニングする。
【2】転移か原発かの鑑別:肺病変の病理像で判断する。肺転移病変の病理像と原発巣の病理像を比較するとより確実である。病理学的検討ができない場合は,臨床経過・画像所見・腫瘍マーカーなどで総合的に判断する。
【3】画像所見
❶所見の5パターン
■実質性増殖パターン:多発または単発の結節,浸潤影。
■癌性リンパ管症
■腫瘍塞栓
■気管支内腔の腫瘍
■悪性胸水
❷所見の特徴
■肺実質内の結節
・最も多い所見である。
・結節は単発のこともある(図1図)が,通常多発性でランダムに分布する(図2図)。時に不整な空洞を有する。多発性の場合,結節は通常大小不同がある(図2図)。
・リンパ系および間質性に散布した場合は間質性増殖パターンをとる。
■隔壁線:Kerl