診断のポイント
【1】睡眠時無呼吸症候群(SAS)は,上気道の閉塞が主因の閉塞性(OSAS)と呼吸中枢の障害による中枢型(central SAS:CSAS)に大別されるが,実際の臨床で問題となるのはOSASである。
【2】診断には夜間の睡眠検査が必須であるが,確定診断には一晩中脳波を含めた生体の指標をモニターするポリソムノグラフィ(PSG)が必要である。
【3】PSG上,1時間あたりの無呼吸(apnea)と低呼吸(hypopnea)の和を無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI)として算出し,AHI>5を睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)と定義する。このSDBに日中過眠(眠気)などの臨床症状が加わった場合をSASと診断する。
【4】5<AHI<15は軽症,15<AHI<30は中等症,AHI>30を重症に分類するが,一般的に治療の対象となるのは中等症以上であり,特にAHI>20は持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)治療の適応である。
【5】診断,重症度,治療の適応などは,原則的にAHIの値により評価するが,本来はAHIに加えて低酸素状態や睡眠の質などを総合的に判断して決定すべきである。
症候の診かた
OSASの3大徴候は,いびき,日中過眠,肥満である。
【1】いびき
❶特に著明ないびきは本症に最も特徴的であり上気道(咽頭部)の狭小化を表している。
❷著明ないびきに引き続いて呼吸が10秒以上停止しその後再び大いびきを繰り返す。
❸患者自身はいびきに気づいていないため,ベッドパートナーからの証言も重要である。
【2】日中過眠
❶無呼吸が持続すると大脳皮質が刺激され中途覚醒が起こる。覚醒すると上気道筋の活動性が復活するため呼吸が再開し,しばらくするとまた上気道が狭窄してついには閉