診断のポイント
【1】視・触診で甲状腺腫瘤の位置を把握する。触れないというのも所見である。
【2】頸部超音波(US)検査が最も精密な甲状腺画像診断である。
【3】甲状腺細胞診による甲状腺乳頭癌の診断精度は高い。
【4】高齢者のほうが悪性度の高い甲状腺腫瘍が多い。
【5】頸部US検査で偶然発見される甲状腺腫瘍が増えている。
緊急対応の判断基準
【1】腫瘍による気道狭窄の進行が疑われたとき:喘鳴(気道狭窄音)が聞こえる。甲状腺腫瘍が気管前面にある場合,緊急気管切開が非常に難しいことがある。安全に気道確保が可能な病院へ緊急搬送することを考慮する。
【2】血痰が大量のとき:その原因が気管内に浸潤した甲状腺腫瘍と考えられる場合,気道確保,止血処置のできる施設へ搬送することを考慮する。
【3】急速に増大してきた甲状腺腫瘍で甲状腺未分化癌を疑う高齢者の場合,迅速な診断・治療開始が可能な施設への紹介を考慮する(図1図)。