診断のポイント
【1】低カルシウム血症。
【2】正~高リン血症。
【3】慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)が存在しない。
緊急対応の判断基準
【1】テタニーの場合:カルシウム製剤の経静脈投与が必要である。
【2】全身けいれん,喉頭けいれんの場合:カルシウム製剤の投与に加え,呼吸管理が必要となる。
症候の診かた
【1】【2】の徴候は,低カルシウム血症時に誘発されやすい。ただし低カルシウム血症以外でも,これらの徴候が認められることがある。
【1】Chvostek徴候:顔面神経幹の殴打により,同側の顔面筋の収縮が認められる。
【2】Trousseau徴候:上腕にマンシェットを巻き,収縮期血圧を超える圧で保持すると,手指の助産師手位が誘発される。
【3】Albright遺伝性骨異栄養症:偽性副甲状腺機能低下症の一部(1a型など)では,円形顔貌(図1a図),肥満,低身長,第4,5中手骨の短縮(図1b図),異所性皮下骨化などを示す。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:低カルシウム血症と正~高リン血症が存在し,クレアチニンが基準範囲内であれば,診断できる。
【2】副甲状腺ホルモン(PTH)の測定
❶本症は,PTH分泌不全による疾患と,PTHへの抵抗性を特徴とする偽性副甲状腺機能低下症に大別される。
❷Intact PTHやwhole PTHは,前者では低値~正常低値を示すのに対し,後者では低カルシウム血症によりPTH分泌が促進されるため高値である。
❸PTH分泌不全を惹起する多くの原因が明らかにされている。
【3】画像検査:本症患者では,頭蓋内の異所性石灰化が認められる場合がある(図2図)。
確定診断の決め手
【1】慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)により血中ミネラル濃度異常が惹起されるのは,通常CKDステージ4以降である。したがって低カルシウム血症,正~高
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/ホール副甲状腺ホルモン〔whole-PTH〕 [保] 165点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/副甲状腺機能低下症
- 新臨床内科学 第10版/3 糖新生系異常症
- 新臨床内科学 第10版/5 ガラクトース代謝異常症
- 新臨床内科学 第10版/2 ホモシスチン尿症
- 新臨床内科学 第10版/(1)ビタミンD依存症,ビタミンD依存性くる病・骨軟化症
- 新臨床内科学 第10版/【4】高ホモシステイン血症
- 新臨床内科学 第10版/(1)高フェニルアラニン血症
- 新臨床内科学 第10版/副甲状腺疾患に伴う神経・筋障害
- 新臨床内科学 第10版/2 副甲状腺機能低下症に伴う神経障害