診療支援
診断

先端巨大症
Acromegaly
髙橋 裕
(神戸大学大学院准教授・糖尿病・内分泌内科学部門)

診断のポイント

 診断基準(表1)に基づいて診断する。

【1】眉弓部の膨隆,鼻・口唇の肥大,下顎の突出,巨大舌などの特徴的な先端巨大症様顔貌。

【2】血中成長ホルモン(GH),インスリン様成長因子I(IGF-I)値の高値。

【3】発汗過多,高血圧,耐糖能異常・糖尿病,脂質異常症などの代謝異常,月経異常,睡眠時無呼吸症候群,骨関節症状,不正咬合の有無。

【4】疑ったときにはブドウ糖負荷試験によるGH分泌抑制の有無を確認。

緊急対応の判断基準

 下垂体腫瘍による視力視野障害が出現し進展しつつあるときには,必要に応じて緊急手術について検討する。ソマトスタチンアナログによって腫瘍が縮小し改善することはあるが,手術療法のほうが確実であるため緊急性を適切に判断する。

症候の診かた

 先端巨大症の症状にはGH,IGF-I過剰によって生じる症状と,下垂体腫瘍による局所症状がある。

【1】GH,IGF-I過剰の症状

❶手足の容積の増大(97%),先端巨大症様顔貌(97%)

Snap diagnosisが可能である代表的な疾患である。眉弓部の膨隆,鼻・口唇の肥大,下顎の突出,巨大舌などの特徴的な先端巨大症様顔貌を見落とさないことが重要である。

歯科,整形外科,循環器内科などさまざまな診療科を受診して,特有の顔貌に気づかれず診断までに4~10年かかる場合がある。

まれに顔貌の判断が困難なこともあるが,過去の写真と比較することによって診断がつくことが多い。

成人後に増大した靴のサイズにも注意が必要である。

❷発汗過多(70%),月経異常(43%),睡眠時無呼吸症候群,耐糖能異常,高血圧,不正咬合,手根管症候群など。

【2】下垂体腫瘍による局所症状:頭痛,視野障害(両耳側半盲),下垂体機能低下症がみられる。

検査所見とその読みかた

【1】一般検査:高中性脂肪血症,インスリン抵抗性を伴う糖尿病,高リン血症などに注意する。

【2】

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?