診断のポイント
【1】Bartter症候群,Gitelman症候群とも,診断の糸口は低カリウム血症であることが多い。そして代謝性アルカローシス,レニン-アルドステロン亢進,低~正常血圧である。
【2】Bartter症候群:新生児期~幼児期において,成長障害,多飲多尿,著明な脱水を呈し,低カリウム血症,代謝性アルカローシスを認めたときに疑う。
【3】Gitelman症候群:Bartter症候群と比べ発症年齢が高く,学童期以降に発見されることが多い。低マグネシウム血症によるテタニーをしばしば認める。
【4】いわゆる偽性Bartter症候群を否定する必要がある。これはフロセミド,サイアザイドなどの利尿薬の長期連用により,Bartter症候群と同じ臨床症状を示すものを指す。
症候の診かた
【1】Bartter症候群
❶近年原因遺伝子が解明されてきており,遺伝子変異により5型に分類されている(表1図)。
❷Bartter症候群1,2,4型(新生児型):胎児多尿のため,羊水過多が認められる。低出生体重児が多く,その後も成長障害や脱水を認める。
❸Bartter症候群3型(いわゆる古典型):新生児型よりも軽症で,乳児期から幼児期にかけて多飲多尿や成長障害で診断されることが多い。
【2】Gitelman症候群:Bartter症候群と比べ発症年齢が高く,学童期以降に発見されることが多い。低マグネシウム血症によるテタニーをしばしば認める。
検査所見とその読みかた
【1】生化学検査:血清カリウム値の低下がみられる。
【2】血液ガス分析:代謝性アルカローシスがみられる。
【3】内分泌学的検査:循環血液量の減少による血漿レニン活性と血漿アルドステロン濃度の上昇を認める。
【4】尿検査
❶低カリウム血症にもかかわらず尿中カリウム排泄量は増加し,代謝性アルカローシスにもかかわらず,尿中塩素排泄量の低下は認めない。
❷Bartter症候群