診療支援
診断

■代謝性疾患の最近の動向
石橋 俊
(自治医科大学教授・内分泌代謝学)


 糖尿病やその合併症に関する診断について,最近は大きな改訂はない。

 脂質異常症診断基準については,「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版」までに定義されたLDLコレステロール,HDLコレステロール,トリグリセライドに加え,2017年版ではnon-HDLコレステロールも追記され,170mg/dL以上が高non-HDLコレステロール血症,150~159mg/dLが境界域高non-HDLコレステロール血症として定義された。冠動脈疾患の1次予防のための絶対リスクに基づく管理分類も,2012年度版ではNIPPON DATA80の冠動脈疾患死亡確率が0.5%未満:カテゴリーⅠ,0.5%以上2.0%未満:カテゴリーⅡ,2.0%以上:カテゴリーⅢとされていたが,2017年版では,吹田スコアに基づいて,冠動脈疾患発症リスクが2%未満:低リスク,2~9%未満:中リスク,9%以上:高リスク,と変更された。

 「肥満症診療ガイドライン2016」では,肥満と肥満症の中でBMI 35以上は高度肥満症として定義され,肥満症と高度肥満症はそれぞれ現体重の3%以上と5~10%を減量目標とされた。高度肥満症の目標が未達成の場合,外科治療も選択肢に加わった。

 従来,特定疾患という呼称で医療費の給付対象とされてきた疾患群が,2015年に指定難病という呼称に改められ,多くの代謝性疾患も指定難病として取り上げられている(厚生労働省のホームページ参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html)。本章に関係する疾患として,Prader-Willi症候群,肝性糖原病,筋性糖原病,家族性高コレステロール血症ホモ接合体,原発性高カイロミクロン血症,シトステロール血症,無βリポ蛋白血症,タンジール病,LCAT欠損症,脳腱黄色腫症,ライ

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