診断のポイント
【1】腱黄色腫。
【2】血清コレスタノール高値。
【3】進行性の神経症状(痙性麻痺,小脳性運動失調,認知機能障害など)。
【4】若年発症の下痢,白内障。
【5】新生児~乳児期の遷延性黄疸・胆汁うっ滞。
症候の診かた
【1】腱黄色腫:20歳台に生じることが多く,アキレス腱に好発するが,膝・肘・手指伸筋の腱など他の部位にみられることもある(図1図)。
【2】進行性の神経症状
❶古典型:精神発達遅滞,認知機能障害,小脳性運動失調,錐体路症状,錐体外路症状,末梢神経障害など多彩な症状を呈する。
❷脊髄型:亜急性から慢性に経過する痙性対麻痺の臨床像を呈する。
【3】若年発症の下痢:小児期に出現することが多く,慢性的に下痢を反復する。
【4】若年発症の白内障:本症患者の半数以上に認められ,10歳台に気づかれることが多い。
【5】新生児~乳児期の遷延性黄疸・胆汁うっ滞:わが国では報告がないが,海外から新生児~乳児期の遷延性黄疸・胆汁うっ滞出発症した例が多数報告されており,わが国で見逃されている可能性がある。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:血清コレスタノール値が高値(4.5μg/mL以上)であれば本疾患の可能性が高い。
【2】脳画像検査:古典型では,脳MRI T2強調画像やFLAIR画像で小脳歯状核,淡蒼球,皮質脊髄路,小脳脚,または脳室周囲白質に高信号を認める(図2図)。脊髄型では,頸髄~胸髄の側索および後索にT2強調画像で高信号を認める(図3図)。
確定診断の決め手
【1】腱黄色腫,白内障,下痢,または神経症状などの臨床症状。
【2】血清コレスタノール高値。
【3】CYP27A1遺伝子の変異:脳腱黄色腫症を示唆する臨床症状を認め,血清コレスタノール高値である場合,CYP27A1遺伝子の変異を確認することにより確定診断に至る。
誤診しやすい疾患
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