診断のポイント
【1】Marfan症候群:指が長い・高身長・胸郭変形・側弯などの身体所見,水晶体亜脱臼,大動脈解離または瘤を主な表現型とする結合組織性疾患でありフィブリリン1(FBN1)遺伝子異常による常染色体優性遺伝性疾患で約1/5,000人の頻度で発症。
【2】Ehlers-Danlos症候群
❶結合組織のコラーゲンまたはコラーゲン修飾酵素の遺伝子異常により結合織の脆弱性が生じ皮膚,血管,関節,内臓などにさまざまな表現型を呈する。
❷皮膚・関節の過伸展を主たる所見とする古典型,大動脈や内臓血管の解離・瘤など血管に表現型を呈する血管型などが知られ,現在は13種類に分類される。
❸全体で1/5,000程度であり常染色体優性または劣性遺伝の形式をとる。
緊急対応の判断基準
急性大動脈解離,大動脈瘤破裂・切迫大動脈瘤破裂,加えてEhlers-Danlos症候群血管型の場合には内臓血管についても動脈解離・瘤をきたす。これら血管イベントを発症した折には致死的転帰をたどる可能性もあり大至急,手術介入・集中管理が可能な高次医療機関・心臓血管外科へ搬送する。
症候の診かた
【1】Marfan症候群
❶診断基準:Modified Ghent nosology(修正ゲント基準;2010年)に従って診断する(表1図)。
❷類縁疾患
■Loeys-Dietz症候群が知られている。血管表現型がより重症で,かつ若年発症,血管蛇行を伴うことが多い。TGFBR1またはTGFBR2遺伝子異常による。
■そのほかTGFβ2,TGFβ3,smad3などの遺伝子変異でも類縁する病態を呈することが判明しておりMarfan症候群および類縁疾患においてTGFβおよびそのシグナル伝達系が病態の主軸をなすものと考えられている。
■そのほか身体的表現型を伴わない家族性大動脈解離・瘤(ACTA2,MYH11,MYLKなどの遺伝子異常が知られる)などの
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