診療支援
診断

■膠原病・免疫疾患の最近の動向
山口 正雄
(帝京大学教授・内科学講座呼吸器・アレルギー学)


 膠原病の正確な診断は的確な治療を進めるために極めて重要であり,特定の疾患や病態に特異性の高い検査が臨床に導入されることの意義は大きい。多発性筋炎・皮膚筋炎では従来より抗Jo-1抗体および抗ARS抗体(アミノアシルtRNA合成酵素)抗体が用いられてきたが,筋炎が目立たない皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis:CADM)では,これらの自己抗体が検出されず診断が難しかった。しかもCADMでは急性進行性間質性肺炎を発症しやすく,臨床上CADMをできるだけ早い時点で診断することが強く望まれていた。抗MDA5抗体の導入はCADMの診断および治療有効性の判定に寄与する画期的な進歩といえる。また,皮膚筋炎のなかでも抗Mi-2抗体陽性例では間質性肺炎や悪性腫瘍の合併が少なく治療反応性が良好という特徴があり,一方,抗TIF1-γ抗体陽性例では悪性腫瘍を高率に合併するという特徴がある。これらの抗体検査は診療上,有用な情報をもたらすものである。

 治療については関節リウマチを始めとする各種の膠原病で生物学的製剤の位置付けが高まっている。TNF-α,IL-6だけでなくCD80/86などといった新規標的分子に対する抗体製剤やバイオシミラーの抗TNF-α製剤の使用が関節リウマチで広がっているところである。血管炎の治療薬としては,大型血管炎である高安動脈炎や巨細胞性動脈炎について抗IL-6受容体抗体トシリズマブが,ANCA関連血管炎のうち顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)に対して抗CD20抗体リツキシマブが,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群)に対して抗IL-5抗体メポリズマブが臨床で用いられている。

 さらに,さまざまな臨床領域とリウマチ膠原病医との連携が深まっていることにも触れておきたい。がん治療

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