診断のポイント
【1】デング熱
❶流行地(東南アジアや中南米)への渡航歴,もしくは国内であってもヒトスジシマカの活動期。
❷防蚊対策の有無。
❸渡航期間と潜伏期間(4~10日)。
❹紅斑や表皮の点状出血。
❺白血球減少,血小板減少。
【2】エボラ出血熱(エボラウイルス病)
❶流行地(西アフリカ,サハラ砂漠以南)への渡航歴。
❷動物や患者との接触歴。
❸渡航期間と潜伏期間(2~21日)。
❹粘膜(口腔,歯肉,消化管,不正出血など)からの出血。
緊急対応の判断基準
【1】デング熱:デング熱から重症型デング熱へ移行する予兆である警告徴候(warning sign)の有無や重症デングの診断基準を確認し〔「デング熱・重症型デング熱」項(→)の図3図参照〕,当てはまるものがあれば,症例経験が豊富な医療機関や高次医療機関への転送を行う。
【2】エボラ出血熱
❶1類感染症であり,少しでも疑ったら早急に保健所へ連絡をし,対応の方法や第一種感染症指定医療機関への転送などに関して判断・指示を仰ぐ。
❷同時に個室隔離を行い,個人防護具を装着する。吐瀉物・排泄物の安全な処理を行う。
❸検査技師も個人防護具を装着のうえで,安全キャビネットで検体処理を行う。
症候の診かた
【1】デング熱
❶発熱:最も頻度が高く9割を超える症例にみられる。7割程度は悪寒を伴う。
❷後眼窩痛:6割程度に認められる。
❸関節痛,筋肉痛:6割程度に認められる。
❹皮疹:点状出血(16%程度)や,解熱後にみられる全身性紅斑を背景に抜けてみえる散在性正常皮膚所見(“White island in the sea of red”といわれる)。
❺ターニケット試験(図1図)。
【2】エボラ出血熱
❶発症当初:発熱,倦怠感,食欲低下,頭痛などの非特異的症状を呈する。
❷発症後7日前後:次第に消化器症状(嘔吐,下痢,腹痛)が出現する。下痢が1日に8Lを超える場合もある。
検査所見とその読みかた
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