診療支援
診断

麻疹
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Measles
新庄 正宜
(慶應義塾大学専任講師・小児科)

診断のポイント

【1】麻疹未罹患でワクチン接種歴なしあるいは1回のみ。

【2】渡航歴(特に東南アジア)あるいは患者接触歴。

【3】0~1歳,20~40歳台。

【4】典型例では,カタル症状,二峰性発熱,Koplik斑,その後出現する発疹(図1)。

緊急対応の判断基準

 重症肺炎(図2),急性脳炎では,しばしば呼吸管理や循環管理が必要。きわめて高い感染性(空気感染)のため,陰圧管理可能なICUのある施設に搬送する。

症候の診かた

【1】潜伏期間

❶典型例:約10(8~12)日。

❷修飾麻疹:上記より延長し14日以上のこともある。

【2】典型例:麻疹ワクチン接種歴のない症例

❶前駆期:約3日間(2~4日)。

高熱,咳・鼻・結膜症状(カタル症状)。一時的に軽い発疹がみられることがある。

頰粘膜に複数のKoplik斑(周囲粘膜に発赤を伴う白色斑点の集合)が出現し増加。融合したり,下唇粘膜に拡大しうる。カタル症状のある患者では頰粘膜をみる習慣をつけるとよい。

❷発疹期

カタル症状は持続・悪化する。熱はいったんやや下がるが発疹出現1~2日後にピークに達する。

Koplik斑は次第に消失。

発疹(紅斑→斑丘疹)は耳介後部や前額部に出現,2日後には全身に拡大(図1)。融合傾向は顔面に強く,四肢で弱い。その後発疹は暗赤色となり,1週間程度で褪色する。

扁桃腺炎やリンパ節炎を伴うことがある。

発疹4日目以降の熱の持続は合併症を考える。

【3】修飾麻疹

❶麻疹の獲得免疫が不十分である患者における麻疹。

❷ワクチン接種後に麻疹獲得免疫が低下した者,麻疹接触後に予防としてグロブリンを投与したが発症した者,母体からの移行抗体がある間に発症した者にみられる。

❸典型例の軽症型。各症状が限定的。症状だけから診断できない。

検査所見とその読みかた

 一般検査で特異的なものはない。

【1】白血球(リンパ球)減少,血小板減少。

【2】血清乳酸脱水素

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