診断のポイント
【1】細胞性免疫不全状態(免疫抑制治療中,血液悪性疾患,移植後,HIV感染者など)。
【2】発熱,倦怠感,関節痛,筋肉痛などの全身症状。
【3】臓器特異的症状(肺炎,胃腸炎,網膜炎など)。
【4】他の日和見感染症(ニューモシスチス肺炎,真菌症など)の合併。
【5】伝染性単核球症様症状(初感染児,生後6か月以内)。
症候の診かた
【1】発熱:明らかではない場合もある。
【2】肺炎:乾性咳嗽,低酸素血症,呼吸困難など。
【3】胃腸炎:悪心,嘔吐,腹痛,下血など。
【4】網膜炎:視覚異常。
【5】脳炎,横断性脊髄炎:中枢神経症状など。
検査所見とその読みかた
【1】画像検査,内視鏡的検査:間質性肺炎(胸部CT)や胃十二指腸潰瘍(内視鏡)が感染症を疑う契機となる。
【2】血清中抗体:サイトメガロウイルス(CMV)感染症のほとんどは,潜伏感染したウイルスの再活性化によるものであり,IgG抗体陽性だけでは,感染症の診断根拠とならない。初感染は,IgM抗体の陽性あるいはIgG抗体の4倍以上の上昇で診断される。
【3】CMV抗原血症検査(アンチゲネミア法)
❶CMV pp65抗原陽性の末梢血好中球数を検出する方法である。抗体の種類が異なる2法がある(C7-HRPとC10/11)。
❷抗原陽性細胞数は,病勢や治療経過とよく相関する。同種造血幹細胞移植後などのハイリスク群では,C7-HRPでは2/50,000WBC以上,C10/11では2スライドで合計3個以上の陽性細胞で陽性とする基準が用いられている。
❸好中球数が少ない(1,000/μL未満)場合には,感度が低下するため注意が必要である。
【4】病理・細胞診検査(図1図)
❶ウイルスが感染した細胞には,フクロウの目に類似した巨細胞封入体(owl's eye)が生じる。免疫組織染色法によりウイルスの存在を証明できる。
❷感染臓器の生検材料のほかに,肺炎では気管支肺胞洗
関連リンク
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