診療支援
診断

デング熱・重症型デング熱
Dengue Fever, Severe Dengue
金川 修造
(東京ビジネスクリニック(東京都千代田区))

診断のポイント

【1】デング熱は蚊が媒介する感染症で,最近10年間で世界中の報告数が飛躍的に増加している。

【2】主な感染地域は熱帯・亜熱帯地域だが,輸入症例から流行を起こした例が報告されている。

【3】WHOによると世界100か国以上から患者報告がされており,推計による感染者は約4億人でそのうち約1億人が有症患者とされている(図1)。

【4】疾患の原因となるウイルスはフラビウイルス属に所属し,4種類の血清型が存在しており,複数回デング熱に罹患する可能性がある。

【5】病状によりデング熱と重症型デング熱に分類され,重症型デング熱では死に至る場合もある。2度目の感染時に重症化しやすいとされている。

症候の診かた

【1】デング熱は,感染後2~14日(通常3~7日)に突然の発熱で発症し,激しい頭痛,眼窩痛,筋肉痛と関節痛を伴う。食欲不振,腹痛,便秘や下痢など消化器症状を伴うこともある。

【2】発熱のパターンは二峰性になることが多く,発熱が収まりかけたときに胸部・体幹に斑状丘疹性の発疹が出現し,四肢・顔面へと広がる。

【3】発熱・疼痛・発疹はデングの3主徴とされている。

【4】ほとんどの症例では,これらの急性症状は1週間程度で消失し,通常後遺症なく回復する。

【5】重症型デング熱(デング出血熱・デング熱ショック症候群)に移行した場合には死に至る可能性があるため,十分な経過観察と適切な治療が必要となる(図2)。

❶デング熱に罹患した患者のうち,血漿漏出による症状や出血傾向あるいは臓器不全を示す症状がみられた場合,重症型デング熱と診断する。重症型では,ショックや消化管出血などにより重篤化し,数日後に死亡することもあり注意が必要。

❷WHOは重症型を判断するための重症徴候(warning sign)として激しい腹痛,連続する嘔吐,呼吸促迫,歯肉出血,吐血,倦怠感,不穏,肝腫大などの臨床症状や,急激なヘマトクリ

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