診断のポイント
【1】グラム陽性短桿菌であるListeria monocytogenesによる人畜共通感染症である。L. monocytogenesは自然界に広く存在し,土壌や野菜,動物などから検出される。
【2】感染源は牛乳,チーズ,サラダ,食肉などの食品,または母親からの垂直感染。
【3】髄膜炎での発症が最も多く,敗血症,子宮内および新生児感染症など多彩な病態を示す。
【4】潜伏期間は3週間程度と推定されている。
【5】新生児,高齢者および細胞性免疫低下状態(血液疾患,臓器・骨髄移植,HIV/AIDSなど)で発症しやすい。
緊急対応の判断基準
【1】髄膜炎の所見があれば,すみやかに専門医へ相談する必要がある。
【2】妊婦の感染は,出産後新生児の新生児集中治療管理室(NICU)での管理が必要になる可能性がある。
症候の診かた
【1】汚染された食品の摂取後に,髄膜炎,脳炎,敗血症など,多彩な病態をとる。
【2】髄膜炎の症状としては,発熱,頭痛,嘔吐などが挙げられるが,意識障害やけいれんが起こる場合もある。他の細菌によるものと明らかな違いはない。
【3】妊婦の感染は,子宮内感染症,絨毛膜羊膜炎,切迫早産,胎児死亡,新生児感染症を起こす可能性がある。
検査所見とその読みかた
【1】他の細菌による髄膜炎や敗血症と同様の検査所見を呈する。
【2】髄液所見も他の細菌性髄膜炎との違いはなく,症状・所見からの鑑別は困難である。
【3】髄液のグラム染色にてグラム陽性短桿菌が認められた場合にはリステリア症を鑑別に必ず挙げる。
確定診断の決め手
確定診断のためには,血液,髄液などの培養検査にてL. monocytogenesを同定する必要がある。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
微生物検査にて,ジフテロイドと誤同定されることがあるため注意が必要である。
確定診断がつかないとき試みること
【1】血液培養検査を複数回・複数セット行うこ
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