診療支援
診断

インフルエンザ
Influenza
藤田 次郎
(琉球大学大学院教授・感染症・呼吸器・消化器内科学)

診断のポイント

【1】地域の流行状況を把握すること。

【2】高熱。

【3】筋肉痛・関節痛。

【4】全身倦怠感。

【5】咽頭のインフルエンザ濾胞。

緊急対応の判断基準

 緊急対応すべき病態として,純インフルエンザウイルス肺炎による呼吸不全と,二次性細菌性肺炎による敗血症を考慮する。

【1】純インフルエンザウイルス肺炎による呼吸不全:パルスオキシメーターにて呼吸不全の有無を判定する。サイトカインストームによる重症型のため専門医への搬送が必要。

【2】二次性細菌性肺炎による敗血症:quick SOFA(quick sequential organ failure assessment)にて重症度を判定する。以下の3つの指標のうち,2つ以上を満たせば,予後の悪い高危険群であるため専門医への搬送が必要。

❶低血圧(収縮期血圧 100mmHg以下)

❷意識状態の変化

❸頻呼吸(呼吸数 22回/分以上)

症候の診かた

【1】普通感冒との鑑別が必要([診断のポイント]参照)。

【2】ワクチンの普及および早期診断により,普通感冒との症候では鑑別できない症例が多くなっていることに留意する。

【3】咽頭のインフルエンザ濾胞に注意。

検査所見とその読みかた

【1】検査に入る前に:地域のインフルエンザ疫学情報を熟知しておくことが重要である。インフルエンザの流行の程度により,迅速診断検査の陽性率は大きく変化することに留意する。

【2】インフルエンザ迅速診断検査:約20種類あり,さまざまな迅速診断検査が臨床的に使用されている。インフルエンザA,およびBが検出可能であり,またパンデミック(H1N1)2009ウイルスを検出可能なもの,またはRSウイルスを検出可能なもの,などの特色を有する。

【3】迅速診断検査の特性:小児と成人(小児が感度が高い),ウイルスの種類(B型が感度が低い),および発症からの時間(24~48時間で感度が高い),などによる感

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