診断のポイント
【1】小児に多い。
【2】典型的な皮膚症状。
【3】全身症状は軽微。
【4】妊婦あるいは妊娠の可能性がある女性ではヒトパルボウイルスB19に対するIgM抗体を測定。
症候の診かた
【1】前駆症状:通常7~11日の潜伏期間ののちに,軽度の発熱や悪寒,頭痛,倦怠感などの症状がみられる。
【2】小児の皮疹
❶小児では両頰部に平手打ち状と呼称される紅斑を生じることから,「りんご病」とよばれる(図1図)。
❷同時に前腕を中心にレース状の紅斑がみられることもある。
❸2週間以内に自然消退するが,日光曝露で頰部の紅斑が再燃することがある。
【3】成人の症状
❶小児と比較して症状は多彩で,頰部の紅斑がみられることはまれである。
❷比較的多くみられる皮疹は四肢の紅斑である。
❸関節痛や関節の腫脹などの関節症状や発熱などの全身症状を伴うことも多い。
❹ほかにも風疹様の紅斑,多形紅斑,点状紫斑,papular-purpuric “gloves and socks” syndrome,アナフィラクトイド紫斑など多彩な症状がみられる。
検査所見とその読みかた
【1】抗体検査
❶10歳くらいまでの幼小児期に初感染を起こすことが多く,成人では50~60%程度が抗体陽性である。
❷したがって診断に有用なのは,酵素免疫測定(EIA)法による特異抗体,特にIgM抗体の検出である。IgG抗体とIgM抗体を別個に検出できる。
❸初感染で皮疹がみられる時期にはIgM抗体が陽性なので,IgM抗体を調べるのが診断に有用である。IgG抗体は皮疹がみられる前後で上昇するので,ペア血清をとって調べる必要がある。
【2】一般検査
❶ヒトパルボウイルスB19の受容体は赤血球血液型P抗原であり,赤芽球前駆細胞に感染してこれを破壊する。そのため感染初期に末梢血網赤血球が減少する。
❷皮疹がみられる時期になると骨髄での赤血球産生が回復し,逆に末梢血網赤血球は増加に
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