診断のポイント
【1】呼吸器感染症:画像診断と喀痰・気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)・protected specimen brush(PSB)のMRSA選択培地を使用した定量もしくは半定量培養検査。
【2】菌血症:適切な手技によって採取された血液からMRSAが検出された場合に診断。
【3】感染性心内膜炎:感染巣不明の敗血症や心雑音を有する敗血症患者,不明熱の患者,弁膜症を有する患者の持続性または繰り返す発熱では,積極的に心エコー検査を行い診断する。
【4】皮膚軟部組織感染症:局所所見と分泌物(膿)のグラム染色,培養検査,感受性検査。
【5】腹腔内感染症:日本ではMRSA腹腔内感染は主として術後感染として発症し,市中の穿孔性腹膜炎や骨盤腹膜炎の原因菌としてMRSAの関与は少ない。腹腔内ドレーン長期留置例では,MRSAによる挿入路感染も問題となる。
緊急対応の判断基準
【1】呼吸器感染症:主に呼吸機能検査結果などを参考に判断する。
【2】菌血症:SOFA(sequential organ failure assessment)スコア,quick SOFA(qSOFA)スコア,急性期播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)診断基準などを参考に判断する。
【3】皮膚軟部組織感染症:セプシス(敗血症)の合併を判断する。
症候の診かた
【1】呼吸器感染症
❶以前に入院歴のある場合,あるいは鼻前庭,咽頭拭いや喀痰からMRSAの分離陽性の既往歴のある場合には,頻度は低いがMRSAを肺炎の原因菌の1つとして考慮する。
❷胸部X線写真で空洞,肺化膿症,膿胸などの壊死性肺炎の所見がある。院内肺炎としてのMRSA肺炎では,胸部X線写真上,黄色ブドウ球菌肺炎の特異的所見に乏しい。
【2】皮膚軟部組織感染症
❶MRSAは入
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