診断のポイント
【1】細菌学的診断:CREは,分離された大腸菌やKlebsiellaなどの腸内細菌科細菌の薬剤感受性試験の結果,広域のβ-ラクタム系およびカルバペネム系抗菌薬に耐性の場合,感染症法上の基準に基づき診断する(表1図)。
【2】臨床的診断:分離されたCREが,感染症の起因菌であるか,無症候性の保菌であるかの診断を行う(図1図)。
【3】CREは院内感染として広がることもあるので,院内感染が起こっていないかどうか,感染対策の専門部署に相談する。
【4】長期入院,最近抗菌薬を投与された,経管栄養を受けている,海外で医療を受けた,CREの流行している国で生活していた,病院や施設でCREが複数の患者から分離されている,などの所見や既往があればCRE保菌を疑うリスク因子である。
緊急対応の判断基準
【1】分離されたCREが感染症の起因菌であると診断した場合:5類感染症として1週間以内に保健所へ届出を行う(図1図)。
【2】CREが分離された患者は,可能な限り個室隔離とする。
【3】CREのなかでも,カルバペネマーゼを産生するCRE(カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌:CPE)の場合には,同室者や同じトイレを使う患者などに保菌者がいないかサーベイランスを行う。
【4】CREが,感染症,保菌にかかわらず,短期間に複数患者から分離されたり,同室者や同じ検査を受けた患者など診療の関連する複数の患者から分離されたりした場合には,院内感染を疑いサーベイランスなどの調査を開始する。
症候の診かた
【1】CREは,便中の保菌で症状のない場合には,治療や除菌の対象とならない。
【2】保菌状態でも,院内や施設内で他の患者への感染源となりうる。
【3】腎盂腎炎などの尿路感染症や胆道系感染症では,菌血症を併発することがあるため,血液培養も同時に行う。
【4】血液培養からCREが分離された場合には,侵入門戸としての尿路や腸管
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