診療支援
診断

敗血症
Sepsis
志馬 伸朗
(広島大学大学院教授・救急集中治療医学)

診断のポイント

 敗血症の診断フロー(図1)に従う。

【1】感染症(あるいはその強い疑い)の有無。

【2】quick SOFA(sequential organ failure assessment)スコア2点以上。

【3】SOFAスコアのベースラインからの2点以上の上昇。

緊急対応の判断基準

【1】敗血症と評価した場合:緊急に救命救急センターあるいは院内特定集中治療室に搬送することが望ましい。

【2】quick SOFAスコアが3点の場合:死亡率は30%を超えると予測されるため,より迅速な転送を考慮する。

【3】20G以上の太さの静脈カニューレで輸液路を確保し,等張晶質液をおおむね30mL/kg急速投与する。

症候の診かた

【1】バイタルサイン,および急性臓器不全のサインに着目する。

【2】敗血症は,初期には末梢が温かいいわゆるwarm shockをきたすことが多いが,病態が進行すれば末梢が冷たいcold shockの状態となりうる。

【3】四肢あるいは腹部に生じる“網状チアノーゼ(mottling)”は,循環不全の特徴的なサインである。

検査所見とその読みかた

【1】quick SOFAスコアを用いて敗血症の可能性を評価し,SOFAスコアを用いて敗血症を判断する

【2】SOFAスコア算定のために必要な所見:バイタルサインとしてのグラスゴー昏睡スケール,平均動脈圧,尿量,検査ではPaO2,血小板数,クレアチニン,総ビリルビンであり,これに循環作動薬の投与量を評価する。

【3】敗血症性ショックの評価:敗血症であれば,初期の急速輸液の反応性を評価し,輸液後も平均血圧65mmHg以上を維持するために血管収縮薬の投与が必要で,かつ,乳酸値が2mmol/L以上のとき,敗血症性ショックと評価する。

【4】感染症の評価:頻度の高い感染症を中心に感染巣を評価する。日本救急医学会のデータでは,敗血症の原因感染巣は1)肺

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