診療支援
診断

幼線虫移行症
††
Larva Migrans by Nematodes
吉川 正英
(奈良県立医科大学教授・病原体・感染防御医学)

診断のポイント

【1】獣肉・獣肝・淡水魚・両生類や爬虫類生物の生食や加熱不完全調理食の摂取歴がある。

【2】皮膚に線状皮疹が生じ,日ごとに伸長する(皮膚爬行疹)。

【3】皮膚に生じた腫脹が消退し,再び別の場所に出現する(移動性皮下腫瘤)。これを繰り返す。

【4】末梢好酸球数が増多する。

【5】皮膚以外にも肺・肝臓・脳・脊髄・眼が幼虫移行の多い臓器である。皮膚と同じく,臓器内の幼虫移動に伴う病変の位置の変化が観察されることがある。

症候の診かた

【1】皮膚爬行疹(図1)

❶有棘顎口虫以外の顎口虫(ドロレス顎口虫,剛棘顎口虫,日本顎口虫)や旋尾線虫の感染で認め,紅斑を伴うことが多い。

❷顎口虫感染による皮疹の伸長速度は1日に数cm程度であるが,旋尾線虫による皮疹の伸長はそれより速い。

❸動物由来の鉤虫(ブラジル鉤虫,イヌ鉤虫,セイロン鉤虫)による爬行疹では,幼虫が表皮内を移行することが多く,水疱形成を伴う。

【2

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?