診断のポイント
【1】本人申告。
【2】患者周囲の空包(家族・救急隊情報)。
【3】意識障害。
【4】これまでの病歴。
【5】精神・身体的苦痛(動機)。
緊急対応の判断基準
【1】以下の場合には気管挿管による確実な気道確保が必要となる。
❶人工呼吸を要する呼吸不全。
❷Japan Coma Scale(JCS)30以上,Glasgow Coma Scale(GCS)合計8点以下の意識障害。
❸舌根沈下や誤嚥の危険が大きい患者に胃洗浄を行うとき。
【2】人工呼吸管理が必要となる場合:適切な部門,適切な医療機関へ入院させる。転送を行う場合には移動中の舌根沈下や誤嚥の危険性を考慮し,気管挿管による確実な気道確保を行っておくことが望ましい。
症候の診かた
【1】意識障害,中枢神経抑制症状,血圧低下,呼吸抑制,無呼吸などの重度な症状がみられることがあるが,いずれも対症療法で全身状態を維持する。
【2】重症の中毒は救命救急センターで対応することが望まれるので必要に応じて転送を考慮する。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査
❶来院時の時点で炎症反応や肝機能,腎機能などの各種生化学検査,Dダイマーなどの止血機能検査を実施しておくことが重要である。
❷CKなど筋肉系酵素上昇から長時間倒れていたことによる圧挫症候群の存在に気づいたり,服用薬物の副作用としての横紋筋融解症を疑う契機になる場合がある。
❸長時間の意識障害による下肢静脈血栓・肺塞栓を疑ってDダイマー上昇をチェックし,入院時の情報とすることは重要である。
【2】胸部画像検査:胸部X線写真を撮影し,肺炎像の有無を確認することが必要である。また,気管挿管を行った場合には,気管チューブの位置確認のための胸部X線写真の撮影は必須である。救急隊が到着するまでに嘔吐し,誤嚥しているケースも多々ある。
【3】頭部CT
❶意識障害の原因検索目的に行うことがある。過量服薬の現場を目