診断のポイント
【1】誤使用による中毒がほとんどである。
❶乳幼児の誤飲事故が圧倒的に多い。
❷認知症・高齢者の誤飲・異食などが注目される。
【2】緊急度の高い中毒を呈する薬品はまれである〔よほどの大量摂取(曝露)でない限り〕。
症候の診かた
【1】消化器症状:悪心,嘔吐,下痢が主体。
【2】成分により,以下のような症状を示す。非特異的な症状がほとんどである。
❶顔面紅潮
❷頭痛
❸眼・鼻咽頭粘膜刺激症状
❹気道刺激症状
検査所見とその読みかた
【1】血液ガス分析(動静脈血どちらでも):アシドーシスの存在を認知する。
【2】尿性状:色調を確認する。
【3】呼気臭:薬品特有の臭いを確認する。
確定診断の決め手
【1】誤用した薬品あるいはその容器から中毒作用物質を確認する(検索して薬品の特徴を確認する)。
【2】いつ,どのように服用したのかを明らかにする。
【3】曝露量(服用・吸入)を可能な限り算出して,中毒量あるいは致死量に達しているかを早期に判断する。
【4】家庭用薬品の場合,製品の臭いが診断の手がかりとして有益である(例えば:化粧品,染料,芳香剤,防虫剤など)。
【5】製品に記載されている含有成分表記,正しい対処法が有益である。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】中毒の病態全般において意識障害がないことで病態を軽症に考えがちであるが,原因物質の特定は必須であり,確認できるまでは安堵しない。
【2】特定の薬品の中毒によって呈する病態の特徴を理解しておく。
【3】病態が遅発する中毒物質もある。
予後判定の基準
【1】予後不良とされる薬品はほとんどない。
【2】致死的な中毒を起こす家庭用薬品はまれであるが,混合ガス発生などの特異な状況があることは知っておく必要がある(塩素ガス,硫化水素)。
経過観察のための検査・処置
血液ガス分析(動静脈どちらでも):アシドーシスの程度を評価することが最も有用である。
治療法ワンポイント・メモ
【1
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