診療支援
診断

一酸化炭素中毒
Carbon Monoxide Poisoning
本多 英喜
(横須賀市立うわまち病院・副病院長/救命救急センター長)

診断のポイント

【1】一酸化炭素(CO)に曝露された可能性がある意識障害患者では本中毒を疑う。

【2】火災現場や排ガスで亡くなる原因として,酸素欠乏よりもCO中毒が多い。

【3】急性CO中毒では,数日~数週間後に認知機能障害(高次脳機能障害)を合併することがある。

【4】CO中毒に伴う遅発性脳症(delayed encephalopathy:DE)の診断にはMRIが有用である。

緊急対応の判断基準

【1】バイタルサインの異常や高度意識障害は重症と判断する。

【2】心機能障害(心筋虚血)による低拍出症候群,代謝性アシドーシス,乳酸値上昇があれば重症と判断する。

症候の診かた

【1】組織の低酸素による症状

❶一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)による末梢組織での酸素の解離が阻害された結果,組織の低酸素が引き起こされる(表1)。

❷組織酸素需要が多い臓器が障害を受けやすい(中枢神経系が最も障害を受けやすい)。

【2】低酸素血症:組織低酸素および心筋障害(拍出量減少)に伴う低酸素血症が組織障害を助長する。

❶COはミオグロビンと結合して心筋や骨格筋も障害する。

❷心筋はCOの標的臓器であり,来院時心筋トロポニンI(TnI)高値の急性CO中毒は重症となる。

【3】神経学的診察(高次脳機能の評価も含む):中等度~重症CO中毒患者では急性期に必ず実施する。

検査所見とその読みかた

【1】血液ガス分析装置あるいはCOオキシメータで血液中CO-Hb濃度を測定する。

【2】動脈血液ガス分析:酸素化や換気状態を反映し,アシドーシスなど酸塩基平衡状態を把握する。

【3】血液検査:血算,ヘマトクリット,血糖値,電解質,肝機能検査,尿検査など一般検査に加えて,クレアチンキナーゼ(CK),CK-MB,ミオグロビン,乳酸,TnIを評価する。

【4】胸部単純X線写真:肺野の評価を行う(肺水腫,誤嚥性肺炎の合併など)。

【5】12誘導心電図:心筋の

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