診断のポイント
診断基準を表1図に示す。
【1】苦痛を伴う身体症状:疼痛,倦怠感,悪心など。
【2】症状への過度のとらわれ。
【3】内科疾患との併存も可。
【4】女性に多い。
症候の診かた
【1】苦痛を伴う身体症状:1つまたは複数の症状(疼痛,倦怠感,悪心など)が持続し,日常生活機能に障害をきたす。
【2】症状への過度のとらわれ:身体症状に固執し,実際の病状とは不釣り合いなほどに症状の深刻さを訴え続ける。病気への過度の心配があり,健康が脅かされることへの不安が強い。結果として,過度の時間と労力がこれに費やされる(ドクターショッピングなど)。
【3】症状が医学的に説明できるか否かは問わない。
【4】内科疾患と併存することもある。
【5】主症状が痛みである場合:従来「疼痛性障害」とよばれ,区別される。
検査所見とその読みかた
身体症状に応じた検査を行っても,相応する所見が得られないことが多い。
確定診断の決め手
【1】苦痛を伴う身体症状(1つまたはそれ以上)。
【2】身体症状,またはそれに伴う健康への過度のとらわれ。
【3】持続性(典型的には6か月以上)。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】見逃されやすい内科疾患〔内分泌疾患,重症筋無力症(→),多発性硬化症(→),神経変性疾患(→),全身性エリテマトーデス(→),潜在性の悪性腫瘍など〕:フォローアップ,時間をおいた精査。
【2】変換症/転換性障害
❶通常,急性で一過性。
❷矛盾した神経学的所見を有する神経症状(麻痺,不随意運動,嚥下障害,失声,けいれん,知覚麻痺,感覚障害など)。
【3】作為症/虚偽性障害
❶身体症状のねつ造,意図的な誘発。
❷ごまかしの行動。
確定診断がつかないとき試みること
【1】対症療法:身体症状(疼痛,倦怠感,嘔気など)に対するもの,および併存する精神症状(抑うつ,不安,不眠など)に対するもの。
【2】経過観察。
合併症・続発症の診断
【1】内科疾患: