近年わが国では,年間100万人前後が新規にがんに罹患している。そして,2人に1人は生涯の中でがんに罹患し,3人に1人はがんが原因で死亡しているという現状を考えれば,今やがんは国民病であると言っても過言ではない。また近年,がんの治療は着実に進歩しており,がんとともに生きる期間は以前よりも延長している。このような環境の中で,がんに対する意識も変化し,がんの治療に生活のすべてを費やすのではなく,がんとともに働き,がんとともにいかに自分の人生をよりよく過ごしていくのか,といったことが重要なテーマとなっている。一方,超高齢社会を迎えているわが国では,国家的要請でもある健康寿命延伸の要である運動器機能維持のために,その重要性の啓蒙や対策が急務となっている。そのための概念としてロコモティブシンドローム(ロコモ)が提唱され,その普及が積極的に取り組まれている。しかし残念ながら,がん領域においてはがんの治
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■運動器疾患の最近の動向 がんロコモ─担癌患者における運動器疾患診断と治療の積極的アプローチ
初出:今日の診断指針 第8版
発行:2020年3月
収載:医学書院 医療情報サービス(2025年3月3日 掲-ID:sin_03808-08_a003b016z0001)