診断のポイント
【1】高熱,強い痛み,脊椎不撓性の典型的急性炎症症状で発症する。
【2】血沈やCRPは急性化膿性脊椎炎では著明に亢進する。
【3】T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈し,脂肪抑制T2像ではより炎症領域を明瞭に描出可能。
緊急対応の判断基準
【1】CT下ドレナージ
❶激痛と発熱で搬送された場合,まず血液検査,MRIで精査,診断確定後,すみやかにCT下ドレナージと膿培養を行う。
❷グラム染色は早急に行い,菌の同定がされるまで第一世代セフェム系を使用することが望ましい。
❸しかし最近はグラム陰性のいわゆる弱毒菌である大腸菌,緑膿菌,またメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)やメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)の増加があるので,初期からMRSAを対象としたバンコマイシンなどを使用することもある.
【2】手術適応:抗菌薬無効例や,脊柱管内へ膿が流入し下肢麻痺が生じたときにはすみやかに除圧術が必要となる。
症候の診かた
まず臨床症状の特徴をつかむことが大切である。
【1】臨床症状の経時的分類:KulowskiやGuriは発症状態によって病型を3型に分類している。
❶急性型:高熱,強い痛み,脊椎不撓性の典型的急性炎症症状で発症する。
❷亜急性型:37℃台の微熱で発症する。
❸慢性型:はじめから発熱はなく,腰背部痛を訴え,発症時期が不明で軽微な症状で発症する。
【2】膿瘍が脊柱管内へ進行すると,激しい痛みと麻痺を生じる。
検査所見とその読みかた
【1】臨床検査所見:血沈やCRPは急性化膿性脊椎炎では著明に亢進し,亜急性型や慢性型では中等度亢進する。
【2】画像所見
❶単純X線
■読影のポイント:初期では椎間板腔狭小化,進行期では骨破壊,椎体破壊,治癒期には反応性骨硬化を示す。
■早期には変化はないが,病巣の拡大とともに椎間板腔の狭小化,椎体辺縁不整像,吸収像,そして破壊像へと進行する。同