診断のポイント
【1】すべての世代に発症する。
【2】椎間板ヘルニアや脚長差などに伴う機能性側弯と真の側弯である構築性側弯に大別される。後者には原因が明らかではない特発性,他の疾患に伴う症候群性,先天性,加齢に伴う変性性などがある。
【3】冠状面での脊柱の弯曲,脊柱の回旋による肋骨・腰部隆起がみられる。
【4】体幹の矢状面・冠状面でのバランス不良をきたす場合がある。
【5】小児では無症状のことが多いが,進行例,成人例では痛みを伴うことがある。
症候の診かた
【1】背側から見た脊柱の弯曲。
【2】両肩の高さの違い,肩甲骨の左右差,ウエストの非対称(図1図)。
【3】肋骨・腰部の隆起(hump):患者に前屈をさせ,左右の肋骨,腰部の高さの差を観察する〔前屈テスト(forward bending test)〕(図2図)。
【4】立位で冠状面あるいは矢状面のバランス不良(左右,前後への体幹の傾斜)がないかどうか観察する。
【5】症候群性には神経線維腫症,Marfan症候群,Ehlers-Danlos症候群,骨形成不全症などがあり,それぞれの疾患に特徴的な所見の有無を確認する。
【6】脊髄空洞症や脊髄腫瘍などに伴う側弯症もあるため,深部腱反射,腹壁反射などの神経学的検査も行う。
検査所見とその読みかた
【1】立位全長脊椎X線写真
❶正面像
■側弯角の大きさ,タイプを観察する。
■側弯角は通常Cobb法を用いて計測する(図3図)。
■カーブのタイプは頂椎(カーブの最も頂点の椎骨)の位置により胸椎,胸・腰椎カーブなどに分類される。
■側弯の可撓性を評価するために左右への側屈像,牽引下の像(traction film)を撮像する。
❷側面像
■思春期特発性側弯症では胸椎の後弯が減少しており,一方,成人例では後弯を呈することが多い。
■後弯の可撓性の評価には背部に枕を置いて仰臥位をとらせてX線を撮像する(fulcrum backwar