診断のポイント
目安を(表1図)に示す。
【1】50歳台で発症することが多い。
【2】男性の発症が女性の2倍以上である。
【3】灰白質の症状である髄節徴候と白質の症状である索路徴候がある。
【4】髄節徴候としては,指のしびれ,上肢の脱力,腱反射低下,感覚障害がある。
【5】索路徴候としては,手指のもつれ,こわばり,体幹の締めつけ感,痙性歩行,腱反射亢進,病的反射,脱力,しびれ,感覚障害,排尿障害がある。
症候の診かた
【1】手指のしびれ:初発症状は,手指のしびれである。しびれの部位は移動せず日によって異なることはない。
【2】手指の巧緻運動障害:手指のもつれ,箸づかい,書字,ボタンかけが困難という症状が続く。
【3】痙性歩行:病変の拡大につれて,足のひきずり,もつれなどの痙性歩行が出現する。
【4】Hoffman徴候:頸髄圧迫病変に対するHoffmann徴候の感度は58%,特異度は78%である。
【5】Myelopathy hand:約90%の頸椎症性ミエロパチーで認められ,その客観的指標としてfinger escape signと10秒テストがある。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニングツール:頸椎症性ミエロパチースクリーニングのための自記式問診票が開発されている(表2図)。合計点6点以上で頸椎症性ミエロパチーの可能性が高い。感度93.5%,特異度67.3%,陽性尤度比2.96,陰性尤度比0.096,AUC 0.86である。
【2】頸椎単純X線像:発育性脊柱管狭窄や骨棘形成などの脊椎症性変化が頸椎症性ミエロパチーの発症に関与している可能性がある。
【3】MRI:T1強調画像は脊髄圧迫度の判定に有用で,T2強調像における髄内高輝度領域は頸椎症性ミエロパチーの存在を示唆する。
確定診断の決め手
【1】Myelopathy handを呈している。
【2】Hoffmann徴候陽性。
【3】MRIまたは脊髄造影